1本で帰ってくる

「1本で帰って来い!」というベンチからの指示を一度は耳にされたと思います。
指示の対象は、セカンドランナーです。塁審をやっていると、1本という言葉を受けた選手がどんな意識で次のプレイに備えているのか、つい気になってしまうのですが、今回はあるMLBのダイジェストを交えながら呟いてみようかと思います。

例えば、ランナー2塁・3塁もしくは満塁の場面で、相手の守備側が中間守備を敷いていたとします。もし自分が2塁ランナーだとしたら、どこまでリードを取りますか?
ピッチャーは、セカンドランナーのリードを気にして、プレートを外したり偽投する事はあっても、牽制球を投じる事はまずありません。理由は、基本的に牽制の対象が本塁へ最も近い3塁ランナーである事、2塁ランナーのリードを気にして思わずセカンドへ投げてしまうと、暴投の可能性やセカンドベースへカバーに入った野手がファンブルしている間に、3塁ランナーを生還させてしまう確率が高くなるからです。
大抵の場合、リードは第2リードよりも少し大きい程度になると思います。
ここで、バッターがセカンド方向へボテボテのゴロを打った場合、2塁ランナーは少なくとも3塁ベースを大きく廻り、守備側の隙きがあれば本塁を狙う様な走塁を常に心掛けてほしいなと思います。
今回の動画でセカンドを守る選手の捕球は、打球に対して正面でした。左90度の方向には1塁ベースがあるので、難なく送球体制に入れますが、捕球したままの体勢で本塁に投げようとした時、体はすでに開いた状態ですので、一旦体を右に90度向けるなり、肩を入れる必要があるため、野手自身が抱く送球イメージよりもワンテンポ遅れるんですね。その結果、焦りが生まれやすく悪送球を招く可能性も高くなります。
2塁ランナーへ向けた走塁の意識付けも必要となりますが、3塁手前から加速させるためには、サードコーチャーの役割がとても大きくなります。地味な1本ですが、内野ゴロでも2点を奪う事ができるというお話でした。

まぁ、拙の独り言なんですけどね…

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珍しい守備妨害5

3度目のトリプルスリーを目指す東京ヤクルトの山田哲人内野手30盗塁目を狙ったのですが、球審の判断で取り消しとなる場面が起こりました。3分07秒辺りをご覧ください。

5回1アウトから四球で出塁し、ボールカウント2-2から盗塁を試みます。バレンティンの三振の間に二塁に滑り込んでセーフかと思われたが、空振りしたバットが捕手に接触します。この行為が故意ではないと判断され、その時点でボールデッドとなり、球審に一塁に戻されました。
妨害を意図したかどうかではなく、結果的にキャッチャーの送球を妨げる結果を招いたとして、主審の判断で守備妨害が適用された一例となります。以前も、今回と似たケースをご紹介しました。

珍しい守備妨害4

公認野球規則では、こちらが該当します。

【公認野球規則6.03 『打者の反則行為』】 (旧6.06)
(a)打者の反則行為によるアウト
(3)打者がバッターボックスの外に出るか、あるいは何らかの動作によって、本塁での捕手のプレイ及び捕手の守備または送球を妨害した場合。しかし例外として、進塁しようとしていた走者がアウトになった場合、および得点しようとした走者が打者の妨害によってアウトの宣告を受けた場合は、打者はアウトにはならない。
【原注】 打者が捕手を妨害したとき、球審は妨害を宣告しなければならない。打者はアウトになりボールデッドとなる。妨害があったとき、走者は進塁できず、妨害発生の瞬間に占有していたと審判員が判断した塁に帰らなければならない。しかし、妨害されながらも捕手がプレイをして、アウトにしようとした走者がアウトになった場合には、現実には妨害がなかったものと考えられるべきで、その走者がアウトとなり、打者はアウトにはならない。その際、他の走者は、走者がアウトにされたら妨害はなかったものとするという規則によって、進塁も可能である。このような場合、規則違反が宣告されなかったようにプレイは続けられる。
打者が空振りし、スイングの余勢で、その所持するバットが、捕手または投球に当たり、審判員が故意ではないと」判断した場合は、打者の妨害とはしないが、ボールデッドとして走者の進塁を許さない。打者については第1ストライク、第2ストライクに当たるときは、ただストライクを宣告し、第3ストライクにあたるときは打者をアウトにする(2ストライク後の”ファウルチップ”も含む)。

明らかに打者による妨害だった判断されると、球審のジャッジも変わります。このケースについては、コチラでまとめています。

珍しい守備妨害3

打者による妨害となるのかどうか、その見極めは球審の冷静な判断に委ねられます…

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