ダブルプレイ2

「野球は、9回裏2アウトから」という言葉があります。たとえ、劣勢に追い込まれていても、アウトを示す赤いランプが3つ灯るまで、試合がひっくり返る(逆転)の可能性が残されているという意味です。野球は、つくづく最後の最後まで何が起きるか分からないスポーツなんだと感じます。
ところで、一生懸命練習してきても、そしてプレイヤーがプロの選手であっても、見えない力が働いたかの様なプレイが起こる事があります。今回は、MLBでかなり珍しい幕切れがありました。サヨナラゲームにも色々な形がある中で、「サヨナラ内野ゴロ」が生まれました。

ミルウォーキー・ブリュワーズ vs シカゴ・カブスの試合、2−3で迎えた9回裏、ブリュワーズは1アウト満塁の絶好機を作ります。押し出しの四球を経て、同点で迎えた打席には、マーリンズでイチローの同僚だったクリスチャン・イエリッチ外野手。サヨナラ負けを何としても阻止したいカブスサイドは、なんと内野に5人外野に2人を配置するという守備体系を敷きました。そして、イエリッチ選手が放った打球は、ライトポールすれすれへの大ファウルとなり、球場の盛り上がりはピークに達します。一方、命拾いしたのはカブスサイドですが、この直後に劇的な幕切れが起こります。

3塁線へ飛んだ打球をサードがキャッチをし、本塁への送球から1塁へ送球というのがよくある光景なのですが、なんどサードの選手は一旦3塁ベースを踏んでから1塁へ送球しダブルプレイを試みます。しかしながら、イエリッチ選手の脚が勝り、3塁ランナーの生還によってブリュワーズが大逆転勝利を収めます。

セオリーは、本塁に近いランナーをまずアウトにして失点を防ぐ事です。そこから、あまよくばバッターランナーを1塁でもアウトにする、ホームゲッツーという展開を目指します。つまり、本塁で1つのアウトを確実に獲るという事なんですね。ですが、捕球をした時に3ベースが目に入ったのか、近いベースでアウトを取る動きを採ってしまった様です。実際には、ベースより少し前で捕球していますので、後ろに下がりながらベースを踏んでいます。アウトカウントを間違え、慌てて1塁へ送球した訳ではなさそうですから、もし1塁でアウトを獲れたらスーパープレイと称されたのかもしれません。ネット上でも、1点を失っても致し方ない試合中盤とは異なり、点を取られたら負けてしまう場面程、セオリー通りにプレイする方が良いという意見が多くを占めました。

今回のプレイを防げるミスと評するのであれば、ベース近くの打球処理については、「どれだけ離れたらベースに戻らなくても良い」という様な決め事はあっても良いのかなと考えます。

まぁ、拙の独り言なんですけどね…

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ダブルプレイ1

ノーアウトランナー1、2塁の場面で送りバントを仕掛けられたとします。この時、一番難しいのはサードの守備だと思います。ピッチャーが処理できる場合は3塁へベースカバーに入りますが、処理できない場合はサードの選手がその打球を処理しに行かなければなりません。先日、MLBでこんなプレイがありました。

このプレイを観て、落合博満氏バントシフトについての提言を掲載した記事を思い出しました。こんな内容です。

このケースでは、いかに二塁走者を三塁で封殺するかを考え、フォーメーションを含めて練習していると思う。ここで少し視点を変え、一塁走者を二塁で封殺したらどうだろう」
守備側が1~2点をリードして迎えた試合の終盤に、攻撃側が無死一、二塁のチャンスを築いた場面を想定する。攻撃側が犠打による進塁を企てたのなら、一死二、三塁の形にすれば成功だ。対する守備側は、二塁走者を三塁で封殺し、一死一、二塁としたい。落合はこう語る。
「守備側がバントシフトを敷いた場合、一死一、二塁なら100点、無死二、三塁にされたら0点ということになる。けれど、勝敗を左右する場面なのだから、100点ではなくても80点、せめて50点を取る守りはできないのか。それが一塁走者の二塁封殺だ。実は、練習しておけば、意外と高い確率でアウトにできるものだ」
一般的に一、二塁や二、三塁では、後位の走者は前の走者の動きを見ながら動く。つまり、無死一、二塁のケースで二塁走者は好スタートを切ろうと準備するが、一塁走者はあくまで二塁走者の動きに合わせる。スタートも二塁走者ほど重視されていない。このケースで二塁走者に万全を期して代走を送ることはあっても、一塁走者はそのまま。スピードのない走者という場合も少なくない。
また、無死一、二塁のバントシフトは一塁手がチャージをかけ、投手はマウンドから三塁側に降りてくる。ゆえに、攻撃側の鉄則とされるのが『三塁手に捕らせるように、強めのバントを三塁側にする』ことだ。それを逆手に取り、三塁手が前進してバントを処理し、二塁封殺を狙うのは無理なプレーではない。
さらに、このバントシフトで最大の効果を落合はこう説く。
「守備側にとって、一死二、三塁と一死一、三塁では、ピンチの程度がまったく違う」
一死二、三塁でタイムリーを打たれれば2失点だが、一死一、三塁なら1失点で済む。2点以内の勝負をしている展開で、この差は大きい。また、一、三塁なら次打者を内野ゴロに討ち取れば併殺も取れるのだ。
「二、三塁と一、三塁では内外野の守備位置も、バッテリーの配球も変わる。そして、二、三塁を守り切るよりも、一、三塁にしておいたほうが精神的にも余裕を持てるということを選手たちが感じるだろう。だからこそ、無死一、二塁でバントをされた時、無理をしても三塁封殺を狙うのなら、二塁封殺の練習をしておくのもディフェンス強化になる。そうして、選手たちの考え方も育まれる」。
引用元:“落合博満の視点vol.6『勝てるチームの守備――無死一、二塁のバントシフトは二塁封殺を狙え』

セカンドへ送球をした場合もフォースプレイとなるため、あまよくばダブルプレイが完成しやすいという考え方もあるという事でしょうか?
サードの選手が正面の打球を前進して捕球した場所に依って、そこから急激に体の向きを変えてサードへ送球するよりも、セカンドへの送球が実は自然に近い体勢になるのかなと想像した次第です。

いやいや、奥が深いです…

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