前評判を覆す

今回は、読売ジャイアンツの新人選手、小林捕手を取り上げます。
広島広陵高から同志社大に進み、日本生命でプレーをしていました。所属するチームで、日本一になる経験はしていません。昨秋のドラフトで、1位指名を受けたのですが、正確には巨人が指名した選手は抽選で交渉権を得る事ができず、いわゆる「外れ1位」で入団した選手です。2月から始まった春季キャンプでは、強肩を活かした守備力は期待通りと言われる一方で、打撃については、非力さを懸念する評価が大半を占めました。しかし、先日のオープン戦(対阪神)では、8回に逆転満塁ホームラン(場外)を放ち、阪神のオープン戦初勝利を奪ってしまいます。課題の打撃の方で、前評判を覆す結果を徐々に残し始めているのです。
ところで、この逆転ホームランですが、偶然にも広陵高時代、重要な場面で相手チームの打者に打たれているんですね。小林選手は、当時から捕手として夏の甲子園に出場し、野村投手(現広島東洋カープ)とバッテリーを組み、決勝まで進みます。2007年夏の大会は、当時甲子園未勝利チームだった佐賀県代表の佐賀北高が、ミラクル旋風を巻き起こし、決勝で広陵高と相対します。試合は、広陵高が8回まで4ー0と優位に進めますが、8回1死満塁から四球で1点を失うと、次の打者に逆転満塁ホームランを打たれてしまいます。その結果、佐賀北高が前評判を覆し、深紅の大優勝旗を奇跡的に勝ち取りました。広陵高にとっては、野村投手が7回まで1安打12奪三振の好投を続け、特に6回7回だけで4つの三振を奪う快投を魅せていただけに、ケチの付け始めが、満塁の場面での押し出し四球になるのですが、これがまた微妙な判定によるものでした。
その問題の判定シーンは、2分31秒後あたりに出てきます。

温厚そうな小林捕手の印象ですが、この判定直後に、グラブを地面に叩き付けてます…
必死にやってきて、あと少しのところで、「天国から地獄」を味わった2人は、今シーズンからプロという場(セリーグ)で凌ぎを削り合う間柄になります。

前評判とは、あくまでもアカの他人が下した、想像の世界における事前評価です。それなりの根拠なりデータを元に、評価をした結果なのでしょうが、実際にグランドでプレーするのは彼らでも、また携わる大人のスタッフ達でもなく、選手達です。球審の判定に目が行きがちですが、ホームランを放った佐賀北高の副島選手の集中力の高さこそ、賞賛されるべきなのかなと思います。
フォルコンズも、今週末から連盟大会の初戦を戦いますが、選手には様々な前評判を覆すプレーを見せて欲しいです。

かく言う拙も、審判部所属として、ドキドキの塁審デビューを果たします。こちらの方の前評判は、全く聞こえてきませんが…

いよいよ、球春スタートです!

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魂を込めて (野手編)

今回は、野手編として楽天イグールスの銀次選手を取り上げます。本名、赤見内 銀次は、岩手県に生まれ、祖父の勧めで、小学校3年生に「普代村野球スポーツ少年団」への入団がきっかけで野球を始めます。5年生時に捕手となり、6年生時に東北大会で準優勝。普代中学3年生で県代表に選抜された後、盛岡中央高校に進学しますが、甲子園出場は果たせませんでした。しかし、高校3年生夏の県大会で、打率.750、特に決勝戦で4打数4安打を記録した事がスカウトの目にとまり、2005年高校生ドラフト3巡目で楽天に指名されます。プロ入り後は、打撃に専念させるため、捕手から内野手に転向し、プロ入り4年後から頭角を現す様になります。現在では、ショート以外はこなせる選手へ成長を遂げています。昨年の活躍はご存知の通りです。
本人が小学生だった頃、将来をあまり深く考えずに「プロ野球選手を目指す」と周囲に言っていたそうで、その気持ちは何となく理解できます。ただ、実際にプロになった後、昔を振り返ってみて、これを自信もって言える事は素晴らしいことだなと感じました。「これ」とは、彼のお母さんと本人のインタビューで触れています。
是非、選手達に観てもらいたいです。6分59秒後あたり、14分45秒後あたり、22分48秒あたりです。彼の云う、沿岸魂を感じて下さい。

最近、楽天の選手が続きましたので、次回は別チームから…

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