エバース

エバースという言葉があります。バントの構えから、バットを引いて投球を見送る動作を意味します。由来は、かつてMLBに在籍したジョニー・エバース氏がこの戦法を使って内野守備陣を前に誘導し、その隙を突いて盗塁するアシストをした事から「エバース戦法」と呼ばれるようになったそうです。
この動画に出てくる2球目をご覧ください。バッターは、バントの構えからバットを引かずにヘッドを下に向けただけで、ボールを見逃しました。これは、エバースとは言いません。投球は主審の判定で「ボール」とコールされていますが、塁審は見逃しませんでした。

微妙な判定を下す必要がある場合は、タイムを掛けて3人の塁審の手助けを仰ぐことが許されています。これから学童野球においても、6年生集大成の大会が始まりますので、一審判員として、慌てずにしっかりと努めたいと思います。

さぁ、フォルコンズは今週末から少しだけ遅い「秋季大会リーグ戦」がスタートします…

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明と暗

全国高校野球選手権岡山大会決勝、9回1アウト1塁の場面で、創志学園の難波侑平選手の打球が投前に転がり、球審の判定は「フェア」。送球は2塁、1塁と渡ってダブルプレーと判定されました。玉野光南の選手らは、優勝が決まったと喜び合い、本塁付近に整列しますが、創志学園側は打球が足に当たったと強くアピールをします。協議の結果、審判団は誤審を認め、打球は改めて「ファウル」と判定されました。再び打席に戻った難波選手が右前打を放つと続く2人にも連打が飛び出し、計4点を挙げた創志学園が逆転し、見事甲子園の切符を手にしました。なぜ主審が見誤ったのか、動画が出揃うのを1日待ってじっくり確認したいと思います。

ネットには、ビデオ判定の導入を求める書き込みも散見されます。確かに、左打者の軸足に打球が当たった場合、捕手の後ろにいる球審からは完全な死角となり、自打球かどうか判断しづらいです。しかし、バッターが1塁へ走り出す事なくアピールを続けていました。ここで悔やまれるのは、プレー完了後、直ぐに4審判が集まり協議を始めなかった事です。これを行なっていれば、判定の覆りが起きても皆んなが納得したと思うのです。

さて、優勝した創志学園には、プロ注目の高田萌生投手がこの試合でも投げきっています。1年生の時から注目されている投手だそうです。

さらに、この創志学園は、2012年の決勝戦において、逆誤審を受けて甲子園の切符を倉敷商業に譲る立場になりました。この判定も一時期話題となりました。

今年の決勝戦での判定は、しばらく話題になることでしょうし、誤審としての様々な批評は、拙自身の今後に役立てたいと思います。でも、ぜひ知っておいてほしいことがあります。高校3年生にとっては、2年4ヶ月の集大成として全力臨んでいますが、審判員もこの日の為に平日仕事を休み、体調を整えるなど前日から最善の準備をし、選手と一緒に戦っています。

拙なんて、まだまだなんです…

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