リタッチとタッチアップ2

学童に比べて中学野球では、犠牲フライで得点できるシーンが多くなるため、球審や塁審もタッチアップに備えた位置取りに益々気が抜けなくなります。今回は、塁上のランナーがタッチアップできる瞬間に着目してみます。

リタッチとタッチアップ1

先日、ランナーのいない場面で、読売ジャイアンツの長野久義選手がセンターフライの打球をお手玉しながら何とか捕球するというプレイがありました。

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もし、ランナーが3塁にいる場面でこの様なプレイが起きた場合、ランナーとランナーコーチャー、そして塁審(球審)はタッチアップ可能なタイミングをどう判断するのでしょうか? 日本語字幕付きという至り尽くせリの動画を見つけましたが、登場するメジャーリーガーも知らないルールなのかと感じた次第です。

公認野球規則には、次の通り2箇所で明記しています。赤字の部分に注目して下さい。

【公認野球規則本規則における用語の定義A〜D 『15.CATCH「キャッチ」(捕球)』】(旧2.57)
野手が、インフライトの打球、投球または送球を、手またはグラブでしっかりと受け止め、かつそれを確実につかむ行為であって、帽子、プロテクター、あるいはユニフォームのポケットまたは他の部分で受け止めた場合は、捕球とはならない。
またボールに触れると同時、あるいはその直後に、他のプレーヤーや壁と衝突したり、倒れた結果、落球した場合は〝捕球〟ではない。
野手が飛球に触れ、そのボールが攻撃チームのメンバーまたは審判員に当たった後に、いずれの野手がこれを捕らえても、〝捕球〟とはならない。
野手がボールを受け止めた後、これに続く送球動作に移ってからボールを落とした場合は、〝捕球〟と判定される。要するに、野手がボールを手にした後、ボールを確実につかみ、かつ意識してボールを手放したことが明らかであれば、これを落とした場合でも〝捕球〟と判定される。5.09a1
【原注】
野手がボールを地面に触れる前に捕らえれば、正規の捕球となる。その間、ジャッグルしたり、あるいは他の野手に触れることがあっても差し支えない。
走者は、最初の野手が飛球に触れた瞬間から、塁を離れて差し支えない。
野手はフェンス、手すり、ロープなど、グラウンドと観客席との境界線を越えた上空へ、身体を伸ばして飛球を捕らえることは許される。また野手は、手すりの頂上やファウルグラウンドにおいてあるキャンバスの上に飛び乗って飛球を捕らえることも許される。しかし野手がフェンス、手すり、ロープなどを越えた上空やスタンドへ、身体を伸ばして飛球を捕らえようとすることは、危険を承知で行うプレイだから、たとえ観客にその飛球を妨げられても、観客の妨害行為に対してはなんら規則上の効力は発生しない。
ダッグアウトの縁で飛球を捕らえようとする野手が、中へ落ち込まないように、中にいるプレーヤー(いずれのチームかを問わない)によって身体を支えられながら捕球した場合正規の捕球となる。
【公認野球規則5.09 『アウト』】(旧6.05)
(a)打者アウト
(1)飛球を捕られた場合
フェア飛球またはファウル飛球(ファウルチップを除く)が、野手に正規に捕らえられた場合。
【原注1】
野手は捕球するためにダッグアウトの中に手を差し伸べることはできるが、足を踏み込むことはできない。野手がボールを確捕すれば、それは正規の捕球となる。ダッグアウトまたはボールデッドの箇所(たとえばスタンド)に近づいてファウルフライを捕らえるためには、野手はグラウンド(ダッグアウトの縁を含む)上または上方に片足または両足を置いておかなければならず、またいずれの足もダッグアウトの中またはボールデッドの箇所の中に置いてはならない。正規の捕球の後、野手がダッグアウトまたはボールデッドの個所に《踏み込んだり、倒れ込んだ場合、ボールデッドとなる。》ランナーについては5.06b3C【原注】参照。
捕球、とは、野手が、インフライトの打球、投球または送球を、手またはグラブでしっかりと受け止め、かつそれを確実につかむ行為であって、帽子、プロテクター、あるいはユニフォームのポケットまたは他の部分で受け止めた場合は、捕球とはならない。
またボールに触れると同時、あるいはその直後に、他のプレーヤーや壁と衝突したり、倒れた結果、落球した場合は〝捕球〟ではない。
野手が飛球に触れ、そのボールが攻撃チームのメンバーまたは審判員に当たった後に、いずれの野手がこれを捕らえても、〝捕球〟とはならない。
野手がボールを受け止めた後、これに続く送球動作に移ってからボールを落とした場合は、〝捕球〟と判定される。要するに、野手がボールを手にした後、ボールを確実につかみ、かつ意識してボールを手放したことが明らかであれば、これを落とした場合でも〝捕球〟と判定される。
【原注2】
野手がボールを地面に触れる前に捕らえれば、正規の捕球となる。その間、ジャッグルしたり、あるいは他の野手に触れることがあっても差し支えない。
走者は、最初の野手が飛球に触れた瞬間から、塁を離れて差し支えない。

つまり、お手玉しても地面に触れる前に捕らえられれば捕球と認められますが、その瞬間までランナーが今いる塁に留まっている必要はないという事が重要なポイントです。
外野へフライが上がった時、リタッチした後、タッチアップできるタイミングを小学生の娘に聞いてみると、「フライのボールを捕ってから」と答え、中学の息子に至っては「野手が完全捕球してから」と理解していました。

完全捕球の定義

2人共、捕球という単語を使っていましたが、彼らが目にしてきた「野球のルール」と呼ばれる本にも、そう書かれているので無理はないと感じました。野球規則での記述は「最初の野手が飛球に触れた瞬間」ですから、触れる場所がグローブでなくても良いと解釈できます。

誤解している大人も沢山いると思いますので、今週末の自慢ネタにしてみてください…

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