どこを観るか1

昨年末のグラウンド練習で、1塁ランナーの盗塁について意見交換をしました。
拙なりに、塁審の立場で見てきた投手の特徴というのがありまして、牽制に移る時投球に入る時の違いをコーチ達に伝えました。どこを見るかという点では理解を得たのですが、本当にそれだけで良いのかという疑問が芽生えてきました。投手のモーションを塁審自身は動かずに見ます。たとえボークに気が付いても、ランナーの様に一刻を争うタイミングでコールする必要はないのですが、ランナーやランナーコーチャーの立場では、その判断では遅いと思うのです。年末年始のドタバタで、そんなモヤモヤはどこへやらとなっていたところへ、新年2日目に昨年引退した鈴木尚広選手のインタビュー記事を目にしました。

【元記事は、コチラ↓をクリック】
通算228盗塁、元G鈴木尚広氏が明かす盗塁の極意「投手を真面目に見ない」

彼が強調するポイントは、スタートを速くするために、身体の力みを取る事に意識を向けていたのです。

――盗塁する時にスタートを切るきっかけにしていた投手の仕草はありますか?
「僕は何か1つの仕草に目を光らせるんじゃなくて、風景の中にピッチャーがいる状態にして、全体が見える状態を作っていました。ピッチャーは真面目に見ちゃダメです。真面目に見過ぎると、視点が1点に集中して視野が狭くなる。しかも、1点を見つめると身体全体に力みが生まれるんです。ガチガチの状態から動き出すのは難しい。ピッチャーでもバッターでも初動には力感がないんですよ。弛緩しているからこそ、筋肉は爆発的な働きをするんです。筋肉が固まっていたら、爆発的な働きはできません」
――なるほど。見方1つ変えるだけで、身体の力みが調整できると……。
「そうなんです。しかも、盗塁ってピッチャーの方を向きながら、横に走り出さなくちゃいけない。だから、ピッチャーを見過ぎて身体が前傾になると、横へのスタートが切りづらくなるんです。そうすると、やっぱり冷静に広く視野を持つっていう意識でピッチャーを見た方が、横へ良いスタートが切れます。

確かに、1点に集中して見続けると身体に力み出やすいというか、じぃ〜っと見続けてしまうと、瞬間的や大きな動きに対応しづらくなるのは判ります。
小学生へは、まずどこを見るかについて伝え、牽制投球の違いはまず理解を得ました。ただ、決め事として共有できた後が問題で、如何にして良いスタートを切らせてあげられるのかを考えていました。以前、3年生選手にはお遊び感覚で、数字のクイズ(1〜5までの奇数と偶数)でスタートと1塁へのバックを瞬時に判断してもらったのですが、頭で考え始めると、素早い判断は難しく映ります。その彼らに、1点集中という方法だけを伝えた後は、瞬発力とか判断力という個々の力に委ねる事で済ませて良いのかと思い直しました訳です。そこで、プロではどの様な練習方法があるのかを探してみたところ、面白い動画がありました。

1分12秒後辺りから背を向けているコーチの動きに注目して下さい。身体の何処かが動く事で、選手に判断させています。息子に聞いてみたのですが、クイックモーションや牽制でも、身体の動き出しは脚だけでなく上半身も一緒に動くそうなのです。牽制と投球の違いは、脚の動きを見比べる事から始めても間違いではないのですが、次のステップとして、例えば投手の身体を真ん中で割って、右半身と左半身を観る様にすれば、投手の身体を大きく観ることができるので、その分だけ力みが薄れるのではと考えてみました。次のステップというのは、次の様な牽制に取り組み始める6年生投手が出て来るからなのです。

投手の牽制 (一塁編)

このタイプの牽制は、中学以降で多くお目に掛かります。踏み出す足軸足よりも先に動くとボークになりますが、プロの投手のスロー映像では、常に軸足から動き始めています。ボークを厳密に取る事を考えた場合、塁審としても1点だけを見ていてはいけないと痛感しました。

リードについては、次回触れてみたいと思います…

カテゴリー: 今日の独り言 パーマリンク