分析する習慣

以前、「呑み込みの早い」子供に触れましたが、その特徴として「人の動きを観察する力」があると書きました。彼らは、誰かに教わるまでもなく、観察して得た情報を元に、脳の中で自分なりに分析してから、模倣を繰り返すんだと思います。
本人にじっくり聞いた事はないのですが、注目しているある部分か、なんとなく全体の動き(シルエット)で特徴を捉えるタイプ、の2つに大別出来ます。拙がインストラクターをしていた、スキースクール時代の話を持ち出します。例えば、教師達同士がフリー滑走していて、後から感想を聞かれた時、なるべくシルエットの違いだけを伝えていました。その一言で、本人自身が分析していくという事を繰り返すためです。
なんで、そんな事を書こうと思ったのか? 実は、松井氏が投げて阿部が打った!NYバッティングセンターで31球という記事で、松井のコメントで改めて気付かされたからです。松井は対談相手の阿部慎之助に向けて、「米国では教えられないよ。コーチがいい打撃とそうでない打撃を見比べて『こっちの方がいい』とアドバイスするぐらい。ある程度、自分で分析しないといけない」と語っています。
この自分で分析する力って、すごく大事じゃないかなと思います。出来る事なら小学生の頃から、細かい分析は難しくとも、自身の姿を見比べる習慣は持って欲しいなと… 視点の違いは、経験や好みで生じてきますが、それは当時の本人の感性に委ねて良いと考えます。ただ、Before/Afterの比較画像があるのなら、映像情報を脳の中のイメージとして記録して欲しいなと… 

どんなスポーツでも、一日でも早く上達したい人が身銭を切ってスクールという場に身を委ねるとしますよね。教える側も、出来る限り長期(回数多く)通ってもらった方が、上達も保証出来ます。でも、たまにいるんです。誰の目にも触れないところでの滑り(野球ではスイングとか腕の振り)が、教わっている時と全く異なる人が… あれこれ教えられて、観られている限りは、ある緊張感を持って演じてくれるのですが、解放されると全くの別人になってしまいます。そういう人って、自分自身に何が良くて、何が悪いのか、という事が判らずにその場の技術だけが上達しているという事です。それに気付いた時は、思いっきり頭を抱えました。そこで出たアイデアとして、(普通はやらないのですが)フリーの時の映像を隠し撮りし、レッスン中に選任カメラマンによって撮影された映像を見比べてもらいました。比較するための素材(機会)は、こちらで用意し、分析する力とか観察する習慣を、ご本人による継続訓練としてお願いしたのです。それから、その方は毎日1回(1場面)だけ同行者に撮影をお願いして、観る事を続けたそうです。撮影の時だけ人が変わってしまうと本末転倒なので、いつも撮られていると思うか、同行者に隠し撮りを勧めておきました。その後、少しずつですが、頭と体がシンクロし始めた様です。

さて学童野球チームで、初心者向けの指導にお付き合いしていると、選手本人の口から「言われた事は、ちゃんとやってるよ」と訴える事が多くあります。なので、まずは映像でそのギャップを目で観てもらうのも良いかも知れません。毎回は難しいでしょうが、この辺もちょっと知恵を絞ってみますか…

まぁ、拙の独り言なんですけどね…

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