アウトロー

今回のお題は、アウトローです。ピッチャー目線バッター目線から、それぞれスポットを当てているのですが、ここではどうしたら投げられるのかに注目してみたいと思います。

2018年シーズンで現役を引退した杉内俊哉氏が、こんな事を言っています。12分00秒辺りからです。

アウトローは10球中2球投げられるかどうかです。
どの場面で狙って投げるかだと思います。
練習ではまず狙ってもナカナカ投げられるボールではない。
試合だと集中力が増すので、ピンポイントで投げられる。

また、広島東洋カーブで活躍した大野豊氏が制球力を養うにはキャッチボールだと語っています。35分40秒辺りからです。

キャッチボールの奥義8

コントロールというのは、確かに狙ったところへ寸分違わずに投げきる能力だと思いがちですが、アウトローという具体的な的(目標)へ投げられるのはコマンド能力という、また1つ上の技術だと改めて感じます。コントロールの良いピッチャーとは、10球中7〜8球がストライクゾーンに投げられる集中力を兼ね備えた選手なんだと思います。よく、制球に苦しむピッチャーに向かって、「打ってもらえ、打たせて良いよ」という声が飛び交います。できれば打たれたくないと投手が抱く感情を抑制させる言葉にも聞こえますが、それは裏を返せばバッターが手を出せるゾーン(ストライクゾーン)なら「どこでも良いからドンドン投げ込め」という意味だと想像します。

その辺をピッチャーに誤解なく伝えられるかが、我々大人の役割なのでしょう。

球審をやっていると、3球投げらたら2ストライクを取っている選手が良いピッチャーだという印象を抱いていました。それが出来たら今後は、(高低は別にして)アウトコースとインコースを投げ分けられる事を目指すと、試合を作れて勝てるピッチャーになると感じます。もちろんその先にはフォームを追求し、キレ(ボールのスピン)や球速の向上が待っています。

兎にも角にも、キャッチボールから狙ったところへ投げる事が当たり前となる様、しっかり伝えていきたいですね…

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次の塁へ

前回阪神タイガースの植田海選手を取り上げたのですが、とある試合で走塁ミスを犯し、チームメイトの福留孝介選手からお説教をされるというシーンがありました。

9回裏1アウト満塁の場面で、サヨナラタイムリーにより阪神タイガースが勝利したのですが、この動画の最後の最後に福留選手が怒っているシーンを見つけてください。

この時、植田選手は2塁ランナーでしたが、3塁ランナーがホームを踏む前に、歓喜の渦に向かってしまいました。サヨナラヒットを放った糸原健斗選手は、当然の事ながら1塁ベースを回って出塁を確定されていますし、1塁ランナーもしっかりと2塁ベースを踏んでから、チームメイトの元へ向かっています。1点を取れば試合が成立する場面ですし、植田選手が犯したプレイは目立たないのかもしれません。ここで、2アウトからサヨナラヒットが出たにもかかわらず、3塁ランナー以外の塁上のランナーが次の塁へ向かう事を怠ると、どの様なルールが適用されるのか、公認野球規則の記載を確認してみます。

まず、満塁(フォース状態)の場合はどうなるのでしょうか?

【公認野球規則5.09c 『アピールアウト』】 (旧7.10)
(3)ボールインプレイのとき、走者が進塁または逆走に際して各塁に触れ損ねたとき、その塁を踏み直す前に、身体あるいは触れ損ねた塁に触球された場合。
【規則説明】
塁を空過した走者は、
(A)後位の走者が得点してしまえばその空過した塁を踏み直すことは許されない。
(B)ボールデッドのもとでは空過した塁の次の塁に達すればその空過した塁を踏む直すことは許されない。
【原注】
例:打者が競技場の外へ場外本塁打を打つか、スタンドに入る二塁打を打って、一塁を空過した(ボールデッド)。打者は二塁に触れる前ならば誤りを正すために一塁に帰ることはできる。しかし、二塁に触れてしまうと、一塁に戻ることができない。守備側がアピールすれば、一塁でアウトが宣告される。
例:打者が遊撃手にゴロを打ち、遊撃手はスタンドに飛び込む悪送球をした(ボールデッド)。打者は一塁を空過したが、悪送球によって二塁が与えられた。打者走者は、審判員によって二塁が与えられても、二塁に進む前に一塁に触れなければならない。
いずれもアピールプレイである。
【注1】
 本項【規則説明】(A)は、ボールインプレイとボールデッドとを問わず適用される。
【注2】
 本項【規則説明】の場合、塁を空過した走者はアピールがなければアウトにならない。
【注3】
 本塁を空過した走者は、ボールデッドのもとでは、投手が新しいボールか、元のボールを持って正規に投手版に位置すれば本塁を踏み直すことは許されない。
【注4】
 本項【規則説明】は飛球が捕らえられたときのリタッチが早かった走者にも適用される。

フォース状態のケースでは、守備側のアピールがあれば、該当のランナーがアウトになります。次に、満塁以外の場面ではどうなるのでしょうか?

【公認野球規則5.09b 『走者のアウト』】 (旧7.08(2)b)
一塁に触れてすでに走者となったプレーヤーが、ベースラインから離れ、次の塁に進もうとする意思を明らかに放棄した場合
【原注】
一塁に触れてすでに走者となったプレーヤーが、もはやプレイは続けられていないと思い込んで、ベースパスを離れてダッグアウトか守備位置の方へ向かったとき、審判員がその行為を走塁する意思を放棄したとみなすことができると判断した場合、その走者はアウトを宣告される。この際、たとえアウトが宣告されても、他の走者に関しては、ボールインプレイの状態が続けられる。 この規則は、次のプレイなどに適用される。

0アウトまたは1アウトで、同点の最終回、走者一塁のとき、打者が競技場の外へサヨナラ本塁打を打った。一塁走者は、二塁を過ぎてから、本塁打で自動的に勝利が決まったと思い込み、ダイヤモンドを横切って自分のベンチに向かった。この間、打者は本塁に向かって進んでいたような場合、走者は、〝次塁に進もうとする意思を放棄した〟という理由で、アウトを宣告され、打者走者は各塁を踏んで行って本塁打を生かすことが許される。もし、2アウト後ならば、本塁打は認められない(5.09d参照)。これはアピールプレイではない。

走者が一塁または三塁で触球されてアウトを宣告されたと思い込んでダッグアウトに向かいだし、依然としてアウトだと思い込んでいる様子が明らかだと審判員が認めるのに適当な距離まで進んでいるときには、走者は進塁を放棄したという理由でアウトが宣告される。
【注3】
フォースの状態におかれている走者に対しては、本項を適用しない。

この場合は、審判による判断で該当ランナーをアウトと宣告します。つまり、塁上のランナーは、まず次の塁へ進んでからと歓喜の渦に入る必要があります。
学童野球では、サヨナラヒットを打ったバッターの元に、出場選手達がグラウンドへ飛び出す事は許されていませんが、アウトカウントがどうであれヒットが出た場合、塁上のランナーは迷わず必ず次の塁へ向かう事を覚えておいてほしいと思います。

まぁ、拙の独り言なんですけどね…

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