インフィールドフライ

今回は、インフィールドフライを取り上げます。インフィールドフライ (Infield Fly) は、
無死、または一死で
ランナーが一・二塁または満塁
の時、打者がフェアのフライ(ライナー及びバントによるフライを除き)を打ち上げた際、そのフライを内野手が捕球体制に入れる場合に適用されます。ランナーが一・三塁、もしくは二塁・三塁のケースでは適用されません。目的は、故意に落球してダブルプレーを狙うことを防ぐために設けられたルールとなります。
インフィールドフライは審判によって宣告されるのですが、ボールが正確に捕球されたかどうかに関わらず、その時点で打者はアウトとなります。この時ばかりは、グラブからポロってもお咎めなしなのです。フライの行く手がファウルゾーンとなった場合は、インフィールドフライにはならず、ファールボールとして捕球されたかどうかの判定に変更されます。そのため、ファールになるか微妙なフライに対しては、インフィールドフライ・イフ・フェアと宣告します。要は、「飛球がフェアゾーンに入ったら、インフィールドフライになりますよ」と予め言っておく必要があります。
インフィールドフライをコールした時点で、自動的に打者はアウトとなります。と同時に、塁上の走者はフォースプレーの状態から解除され、進塁義務がなくなりますので、元の塁に戻らなければなりません
インフィールドフライという呼び名から想像できる通り、打者がバットを振って打ち上げたフライに対して適用する規則であって、ライナー及びバントによるフライに対しては適用されません

ここで、非常に珍しいケースの動画を紹介します。1991年6月5日の横浜大洋ホエールズ対広島東洋カープ戦で起きたプレーです。2-2の同点で迎えた9回裏1死満塁の場面で、大洋の打者がホームベース近くの三塁線上にフライを打ち上げ、球審はインフィールドフライ・イフ・フェアの宣告をしました。打球は、広島の捕手の頭上に上がりますが、直接捕球せず、ワンバウンドしたボールをフェアグラウンド上で捕球し、本塁を踏んで一塁に送球したのです。

捕手は、これで打者走者と三塁走者を併殺したつもりになっていますが、実は球審がインフィールドフライを宣告した時点で、打者はアウトとなり、塁上の走者はフォースの状態が解除されると同時に、進塁義務がなくなります。そのため、捕手が本塁に触球して(ボールを持ったまま踏んで)も三塁走者はフォースアウトにはなりませんでした。捕手は捕球した時点で、本塁を踏んで一塁に送球するのではなく、三塁から走ってきた走者にタッチ(触球)すれば、打者走者と三塁走者の併殺で、そのイニングを終了することができたのです。
このプレーで、捕手が本塁を踏んだのを見て自分もアウトになったと思い込んだ三塁走者は、本塁手前で走るのをやめてますが、ベンチからの指示で、振り向きもう一度本塁を踏み直したそうです。その一部始終を見届けた球審は、アウトになったのは打者走者のみまだ二死だったため、三塁走者が本塁に触れたことによる得点を認めて、試合終了を宣告し、大洋のサヨナラ勝ちとなりました。ちなみにスコアブック上では、この一連のプレイで三塁走者への触球を怠ったとして、捕手に失策が記録されています。
なお、この試合で球審を務めた方は、後にファインジャッジ賞を受賞したそうで、またこのシーンもインフィールドフライのルール説明用教材として使われているんだとか。

さて、次の動画もインフィールドフライからのタッチアップで、ゲームが成立(サヨナラ)してしまう試合です。インフィールドフライ成立後、三塁ランナーは一旦元の塁に戻り(リタッチ)ますが、そこからコーチャーの指示(?)でホームインしてしまいます。インフィールドフライ成立後は、ボールデットにはならずインプレイなんですね。だから、守備側のちょっとした隙をついて、ホームインしてそれが認められたということなのです。守備側も、捕球後にすぐタイムを掛けておくなり、捕手に返球しておけば、防げる失点だったと言えるでしょう。

頭の中で、インフィールドフライが整理出来ましたら、ルールブックの盲点(←こちらをクリック)もご覧下さいね。振り逃げと共にこれを知っておくと、自分はかなりの野球通と胸を張れるかも知れません…

まぁ、拙の独り言なんですけどね…

カテゴリー: 野球のルール パーマリンク