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「やる気スイッチ」のCMをご覧になったことはありますか? ネットで検索すると、3種類のCMが閲覧できるようになっています。

4年生までの低学年選手の中には、グランド練習に行くのが億劫になる事があるそうです。朝早いのが苦手なのか、練習着に着替えるのが面倒なのか、野球以外の遊びに気持ちが傾いてしまっているのか、真相は定かではありません。野球チームに入部し、(体調不良などを除いて)グランド練習に休まず参加している選手達は、少なからず「やる気スイッチ」は入ってます。ですが、感情表現は十人十色なので、どこまでのやる気なのかが見えづらいところです。
5年生以上になると、「一体、いつから用意していたんだ?」と聞きたくなるような言い訳を、しかも噛まずにスラスラと述べるようになってきます。不思議なことに、良いプレーをした直後に感想を聞くと、逆に照れながら言葉選びに困るようです。まぁ、ギャップというか素直でなくなることは、成長の証かもしれません。

さて、覚えてもらいたい「動き」や「プレー」に対する呑みこみの速さを、どうすれば少しでも加速させることができるでしょうか?以前、TVで錦織圭選手などが、悔しさスイッチという存在を伝えてました。
1年位前までは、悔しさスイッチなるものがどこにあるのか、選手達個々を眺めてみたのですが、考えを改めたいと思います。実は、「悔しさの度合い」とか、「壁を乗る超えるための根拠」みたいなものを、彼らからあまり感じることができませんでした。その理由に気が付かないまま、悔しさスイッチを探しあてても、押したことによる「次なる期待」はあまりできないと思います。
相手は小学生です。そこで、涙スイッチを押した方が近道なのではというのが、最近の考えです。「もう、いちいち泣くな!」と書きたいところですが、なぜ彼らは涙を流すのかをもう一度見直してみました。「悔しくて」、「失敗して恥ずかしくて」、「監督・コーチに怒られて」など色々と想像したのですが、そもそも「他の人に見られていることをあまり気にしせずに、涙する」という共通点があります。

「言われなくてもわかっている、誰からも指摘してほしくない」時ほど、涙しているように見えます。人目を気にせずに「泣く」ことが、小学生にとって正直な感情表現だとすると、気持ちのコントロールも含めて、「指摘 = 本人の課題」と認識した証と受け取れます。ですから、一旦冷静になった後は、忘れない内に「課題を克服する作業」を始めればよいのかなと。意外と人前で恥ずかしい・悔しい思いをした時ほど、「こうすれば良かった」という後悔と共に、強く記憶に残るはずです。

時間を要する課題の克服作業に合わせ、ここでようやく悔しさスイッチを押せるタイミングなのかもしれません。高学年ほど、優等生発言やその場を濁す発言を耳にします。その発言が何となく嘘くさいことは、目の動きを見れば区別がつくとして、「できる限り、正直な感情を言葉にする」ことを意識してほしいです。「なぜ、できないのか?」ではなく、「どうしたら、できるのか?」と考えられるようになれば、克服へのスピードは加速します。涙スイッチから悔しさスイッチに変わった後ですが、小学生の内は、その持続性の期間を少しずつ延ばしていきたいですよね。本人にとって、その課題が高い壁と感じた時点で、「悔しさ」と「諦め」が同居を始め、「諦め」という意識が勝ってしまうからです。どちらかといえば、持続性よりも信憑性の方が重要でしょうか?自分を偽り、大人が期待することを考え、口にする選手も中にはいます。「彼は、どこか自分に正直になっていないな」と大人が感じたら、あえて「涙してもらう」機会を、ベンチスタッフやコーチ達に作ってもらうしかないのかもしれません。

野球でも勉強でも、携わる時間が長くなるほど、できる動き、解ける問題がどんどん増えいく一方で、無難に安全に熟そうとする選手達が現れます。いざ本番ではさらに慎重さが勝って体も頭もキビキビ動けなくなること、反して気持ちが前向きな時にできる動きとの違いを、何度も味わっておいてほしいのです。野球では、みんなに観られているピンチの場面で、焦りからくる、本当の「恥ずかしさ」や「悔しさ」を味わえば、自然と別のスイッチが入ると思います。
どんな課題も、最後の最後は選手自身で克服するしかないのですが、次のステップに向けたケアを含めて、舞台と機会を繰り返して提供をするのは、大人の役目です。

まぁ、拙の独り言なんですけどね…

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コーチひと筋

今回は、内田順三氏という打撃コーチを紹介します。
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来年度から、読売ジャイアンツ2軍打撃コーチに就任される方なのですが、今年まで広島東洋カープ2軍監督を務めていらっしゃいました。何で取り上げたのか?と言いますと、プロ入りした1970年から一度もユニフォームを脱いだことがない方だと知ったからです。プロ生活は、13年(1970~82年)で950試合に出場し、打率2割5分2厘(3割越えは2シーズン)、25本塁打、182打点と決して突出した成績は残しておりません。
引退の翌年、広島二軍打撃コーチ補佐に就任してからは、1984年~87年広島一軍打撃コーチ、1988年~1933年広島2軍打撃コーチとして若手選手を育成しました。1994年~2002年には、読売ジャイアンツ打撃コーチ(2軍打撃コーチ、1軍打撃コーチ)を歴任します。その後、2003年~05年に再び広島の打撃コーチに復帰し、2006年~07年にはまた巨人1軍打撃コーチに復帰します。ところが、2008年からは打撃統括コーチとして広島に戻り、2011年は2軍打撃チーフコーチ、2012年からは2軍監督を務めました。そして先日、巨人2軍打撃コーチに再度就任することが発表されました。なによりも、今年まで1年も休むことなく、コーチ業を続けていることが「すごい」と思います。

彼が手がけた選手を調べてみたのですが、いやいや錚々たる顔ぶれです。
広島:小早川毅彦、緒方孝市(広島新監督)、野村謙二郎(広島前監督)、江藤智や前田智徳、金本知憲、嶋重宣、新井貴浩
巨人:松井秀喜、高橋由伸、仁志敏久、清水隆行、阿部慎之助、橋本至

広島と巨人を渡り歩いていることも興味深いですが、選手生活を通じてこれまで一度もユニフォームを脱いだことがない方です。コーチ歴32年(勤続45年)の名コーチが、来年以降ジャイアンツの若手を指導します。打撃指導だけでなく、阿部慎之助選手に対しては打撃と守備(捕手)との切り替え、集中を諭して、その後の成長のもとを築いたそうです。プロ選手の平均寿命が8年と言われ、引退後は誰しもが野球に関わるに就くことさえ厳しい世界で、コーチ職のオファーが絶えない方も非常に珍しいと思います。

先日のドラフトでジャイアンツに1位指名された岡本和真選手や、1軍半に甘んじている太田泰示・中井大介・辻東倫選手らの成長が楽しみです…

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