21,000という数字は、プロ野球12球団と一般社団法人日本野球機構が、全国の小学校で野球、ソフトボールなどの経験がない先生でも体育の「ベースボール型」授業を気軽に行うための指導用教材(DVD付)を制作、全国の小学校に無償配布した数です。全国に約2万1,000校の小学校があるんですね? 教材名は、「みんなが輝く やさしいベースボール型授業」といいます。
小学校体育における球技は、ネット型・ボール型・ベースボール型の3種類に分類され、ネット型はバレーボール、ボール型はバスケットボールやサッカー、ベースボール型は野球やソフトボールが該当します。ベースボール型の定義ですが、2チームに分かれ、攻守交代があることが特徴です。ベースボール型の授業は、1976年にソフトボールが必修科目から外れ、1997年まで行われていなかったそうです。しかし、再び1998年から選択科目として取り入れられ、これが2010年まで続きました。そして、2011年からはベースボール型が小学3年生から必修となり、全国の小学校で行われるようになっています。しかし、ここである問題が生じました。この1976年から97年の間を小学生として過ごした、小学校の先生には野球やソフトボールに触れた経験が極端に少なかったのです。今や小学校には女性の先生の方が多いと言われ、ベースボール型が必修になったといっても、「指導するのが難しい」という声が上がったそうなのです。そこで、日本野球機構が小学体育の授業の手助けになればということで、指導用教材の作成を行ったという経緯です。
まず3年生は擬音を使った「捕る」動作から始め、学年ごとに、「バックホームゲーム」(3年)、「フォースプレーゲーム」(4年)、「タッチプレーゲーム」(5年)、「ホームインゲーム」(6年)と段階が設けられ、少しずつ野球に近づけていくカリキュラムになっています。「バックホームゲーム」では、ボールを捕った野手は必ずホームに投げます。ホームにボールが届くまでに、打者がどれだけベースを踏んだかによって得点を加えるルールだそうです。ベースボール型授業の一部が映像化されていますので、ご覧下さい。
ベースボール型授業では、「捕る」・「投げる」・「打つ」・「走る」・「主役」・「考える力」・「解決する力」・「協調性」を学びます。また、野球は「間のスポーツ」であることに注目し、この間を使ってチームで作戦を立てたり、意見を出し合うことによって、「考える力」や「解決する力」を養うことが期待されています。
ここで、「主役」という言葉が出てくるのですが、実は野球は誰もが主役になれるスポーツであることを知ってもらう狙いがあるそうです。野球ではチームプレーが強調されてはいます。しかし、基本となるのはピッチャーとバッターの1対1での勝負。攻撃する機会が必ずあります。また、自分のエラーによって試合に負けることもあります。成功しても失敗しても「主役」であることを経験することも重要だと思います。「協調性」では、仲間を想う気持ちも育むことを目指します。授業における「キャッチボール」では。相手のことを思って捕りやすいところに投げてあげることを学び、フェアプレイの大切さも同時に伝えるそうです。ベースボール型授業には別のキーワードがあります。それは、、「あくしゅ・あいさつ・ありがとう」という感謝の気持ちです。学童野球選手達にとって、疑問に感じたことはないと思うのですが、例えば試合を始める時や終わる時、試合ができることへの感謝の気持ちを込めて、対戦相手や審判と握手をします。
最後に、2,100という数字ですが、全日本軟式野球連盟の調べで、2011年から14年の4年間に消滅した学童野球チーム数になります。以前と比べ、野球が思う存分できる環境にない現状もあります。個人的には、フォルコンズの様な野球団体も協力して「ベースボール型」授業のお手伝いをしたり、先生方との「研究授業」などができる様になることで、毎日運動する習慣を身に付けてくれたらと思います。
まぁ、拙の願望なんですけどね…