広島カープの新井貴浩選手が、2000本安打を放った直後から彼にまつわる記事を何度も目にしました。名球会入りの祝うブレザーの贈呈式の様子をTVで放映していましたので、少し触れてみたいと思います。
あれだけの偉業を果たしたのだから、その球歴も輝かしいのだろうと期待して、色々な記事や球歴を調べてみたのですが、実は全くの逆でした。大学時代は日米野球で活躍、東都大学リーグで打点王、ベストナインを獲得したのですが、その時の恩師に言わせると、「センスはなかった」と驚きのコメントしていました。当時の広島担当スカウトも「身体が強く、バッティングは当たれば面白いが、肩がまるっきり弱くてプロでは守るところがない」という低い評価だった様です。でも、彼には大きな武器が2つありました。それは、「契約金ゼロでいいから、どうしてもプロに行きたいです」という強い思いと体です。彼のプロ入りには、大学OBであるコーチや恩師が手を尽くし、その思いを実現させてくれました。ですから、プロ入り後は、多くの方々を裏切るわけにはいかないという思いに変わり、猛練習にも耐えたのではと想像します。広島カープの練習は厳しいと言われていますが、その当時の映像をみると頷けます。
このところフォルコンズのグランドに、様々な世代のOB選手が顔を出してくれます。すごく有り難いことなのですが、2年以上前に卒団をしたメンバーは、グランド練習を手伝いながら一様に驚きをみせます。確かにこの2年で練習は厳しく、キツくなりました。センスのある選手への指導は、吸収するスピードも人より速いため、教えていても楽しいと感じるのは事実です。結局、身体能力があるから、多少いい加減にやっても捕れたり、守れたり、打てたり、投げられたりできてしまうんです。でも、読売ジャイアンツ3軍を率いる川相昌弘監督がこんなことを言ってました。
「プロの場合、いい加減でも何でもいいから、確率が上がらないことにはこの世界でずっと生きていけない。基本に忠実に、丁寧にやり続けられるかどうかがすごく大事」
これを読むと、今この時期に「センスを感じない」と判断されても、新井選手の歩んできたルーツ(苦労)はきっと参考になると思いますし、そもそもセンスという言葉自体を嫌う拙にとって、小学生選手達との練習にトコトン付き合うことが一番好きなのであります。丁寧に継続できる選手は、センスだけの選手をいつか追い抜けるはずです。
彼らが、これ以上ヘタになることは絶対にありませんから…