ボークと反則投球

ボークとは、投手だけを罰則対象にした反則プレーを意味します。正しい投球や送球(牽制)を行わないことにより、バッターやランナーを騙すことを防ぐために設けられたルールです。ボークを大きく分けると打者に対する投球時の反則走者に対する牽制時の反則の2種類になります。

打者に対する投球時の反則

・投球動作を途中で止める
・投球板に触れている状態でボールを落とす
・投球板に触れずに投球【反則投球】
・打者が十分に構えていないのに投球【反則投球】
・規定されている投球動作(ワインドアップ・セットポジション)に反した投球【反則投球=イリーガルピッチ】

などがあります。ここで挙げた5個の例のうち、【反則投球】と記した3つが反則投球と呼ばれるプレーとなります。反則投球ボークの一部です。

走者に対する牽制時の反則

・投手板に触れた状態で、一塁または三塁への牽制偽投
・投手板に触れた状態で、自由な脚を牽制方向へ踏み出さずに牽制
・投手板に触れた状態で、走者のいない塁へ送球(走者の盗塁を刺そうとする場合は除く)

などです。投手板にさえ触れていなければ、牽制時にボークは発生しませんので、投手は内野手の扱いに変わります。

このボークが発生した場合ですが、走者がいる場合走者がいない場合によって、対処の仕方が大きく変わります。

走者がいる場合
ボークが発生すればボールデットになり、塁上の全てのランナーに進塁が1つ与えられます。投球自体は無効となるため、ボールカウントは変わらず、投球数にも数えません。ただ例外として、ボークの投球をバッターが打った場合は、少々複雑になります。まず、打った結果が安打や失策により「打者が出塁し、全てのランナーが1つ以上進塁」すれば、打撃を有効とします。つまり、「ボークは発生していない」扱いに変わります。先日の横浜DeNA vs 中日ドラゴンズ戦で、実際に起こったシーンがコチラです。

ここで、バッターがフライやゴロを放って出塁出来なかったり、塁上にいる全てのランナーが1つ以上進塁出来なかった場合は、打撃そのものが無かったこととして、ボークが適用されボールデッドとなります。
しかし、打撃は発生せずに、ボーク発生時の投球や牽制球が暴投悪送球で、これを捕球する側が取り損なった場合、ランナーは与えられた1つの塁よりも先の塁へ、進塁を試みても良いとされています。つまり、直ちにボールデッドとはならず(インプレー)、走者がボークで与えられた塁以上に進塁しようとした時点で、ボークと関係なくプレー続行が認められています。もし、悪送球のボールが、ボールデッドゾーンに入った場合は、ボークによる1つの進塁に加え、ボールデッドによる進塁がもう1つ与えられます。
余談ですが、ボークとはならない投手の悪送球が、その塁を守る野手を通過した後(その野手が触れたかどうかを問わない)、さらに野手に触れてボールデッドゾーンに入った場合、いずれも、投手の投球当時の各ランナーの位置を基準として、各ランナーに2つの進塁が与えられます(野球規則 7.05(h) 「付記」)

走者がいない場合
ランナーがいない状態では、そもそも牽制自体が発生しないケースですから、牽制に関するボークは起こり得ません。しかし、投球動作を途中で止めてしまった時は改めて投球動作をやり直し、投球動作中にボールを落としてしまった時はボールを拾ってやり直す、ということは求められます。このケースでは、「ランナーを騙す機会は無い」ものの、反則投球には「バッターを騙す作用」も含まれるため、ペナルティーとしてボールが1つカウントされます。スコア上はボークの記録はされないものの、投球数にはカウントされます。この場合も、この投球をバッターが打ち、ランナーとして出塁できれば打撃が有効となり、出塁出来なければ打撃が無かったこととして扱われます。

走者がいる状況では、落ち着いて対処したいと思いますね…

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