まずは、今大会ナンバー1投手といわれた、県立岐阜商業の高橋投手。1戦目から全力ではなく、段階を踏んで投球レベルを上げるやり方を実践したそうで、テーマは「1試合100球以内で投げきる」ことだったそうです。今回は初戦が110球、2戦目が112球、そして、この日が103球と、いずれもクリアできなかったものの、「投げすぎない省エネ投法」を常に目指していたというのだから驚きです。将来から逆算した“肩やヒジは消耗品”という意識が強いそうで、「違和感があるとチームドクターに診てもらった後、整形外科のおじに診せて、レントゲンを撮って確認」しているんだとか。マッサージを欠かかざず、整体にも通っているそうです。彼のプロ意識の高さに驚かされました。夏の大会も注目ですね。
続いて、仙台育英の佐藤投手。敦賀気比・平沼投手との投げ合いに敗れたましたが、最速154kmのストレートに2種類のフォークを駆使したピッチングは見ごたえがありました。
「これまでの野球人生でないくらいに、一番楽しい場所でした」と決勝戦後に語ったのは、本大会のシンデレラボーイ、敦賀気比の松本選手です。
京都嵐山ボーイズ時代はピッチャー兼外野手で4番を打ってはいましたが、敦賀気比入学後1年の冬に外野専任となり、2年の夏はベンチ外。マンモススタンドでの応援部隊を過ごします。3年新チームになっても、古傷の右の肩甲骨の故障で出遅れ、一桁の背番号はもらえなかったそうです。これまで公式戦で1本も本塁打を打ったことのなかったその控え外野手が、準決勝、決勝で3本塁打10打点。ここまで打つと、もう「まぐれ」を超越した神スイングです。
チームの誰もが認める努力家で、一日800スイングをノルマにしてきたのだそうです。きっと野球の神様は、どこかで松本の流した汗と涙を見てくれたのでしょう。今大会3本塁打という記録は、清原和博選手(PL学園)、元木大介選手(上宮)、松井秀喜選手(星稜)らに並ぶ史上10人目。しかも、この記録を作った過去9人のうち4人はダイレクトでプロへ、残り5人中2人も大学や社会人などを経てプロへと進んでいます。しかし、スカウト陣の評価は厳しいもので、「夢のないような話をしますが、今の段階で獲得する球団はないでしょう」と断言されています。ただですね、別のスカウトの方曰く、「そもそも、スカウトの目は節穴です(笑)。今話題の広島の黒田に関しても、スカウト時代の私は上宮高校時代から知ってはいましたが、プロレベルではないと、判断を下していたくらいですから(笑)」という記事を目にしました。
今の段階で獲る球団などないと言った彼を、数年後に見返して笑い飛ばす様な成長をしてもらいたいですね…