今回は、内田順三氏という打撃コーチを紹介します。
来年度から、読売ジャイアンツの2軍打撃コーチに就任される方なのですが、今年まで広島東洋カープの2軍監督を務めていらっしゃいました。何で取り上げたのか?と言いますと、プロ入りした1970年から一度もユニフォームを脱いだことがない方だと知ったからです。プロ生活は、13年(1970~82年)で950試合に出場し、打率2割5分2厘(3割越えは2シーズン)、25本塁打、182打点と決して突出した成績は残しておりません。
引退の翌年、広島二軍打撃コーチ補佐に就任してからは、1984年~87年広島一軍打撃コーチ、1988年~1933年広島2軍打撃コーチとして若手選手を育成しました。1994年~2002年には、読売ジャイアンツ打撃コーチ(2軍打撃コーチ、1軍打撃コーチ)を歴任します。その後、2003年~05年に再び広島の打撃コーチに復帰し、2006年~07年にはまた巨人1軍打撃コーチに復帰します。ところが、2008年からは打撃統括コーチとして広島に戻り、2011年は2軍打撃チーフコーチ、2012年からは2軍監督を務めました。そして先日、巨人の2軍打撃コーチに再度就任することが発表されました。なによりも、今年まで1年も休むことなく、コーチ業を続けていることが「すごい」と思います。
彼が手がけた選手を調べてみたのですが、いやいや錚々たる顔ぶれです。
広島:小早川毅彦、緒方孝市(広島新監督)、野村謙二郎(広島前監督)、江藤智や前田智徳、金本知憲、嶋重宣、新井貴浩
巨人:松井秀喜、高橋由伸、仁志敏久、清水隆行、阿部慎之助、橋本至
広島と巨人を渡り歩いていることも興味深いですが、選手生活を通じてこれまで一度もユニフォームを脱いだことがない方です。コーチ歴32年(勤続45年)の名コーチが、来年以降ジャイアンツの若手を指導します。打撃指導だけでなく、阿部慎之助選手に対しては打撃と守備(捕手)との切り替え、集中を諭して、その後の成長のもとを築いたそうです。プロ選手の平均寿命が8年と言われ、引退後は誰しもが野球に関わるに就くことさえ厳しい世界で、コーチ職のオファーが絶えない方も非常に珍しいと思います。
先日のドラフトでジャイアンツに1位指名された岡本和真選手や、1軍半に甘んじている太田泰示・中井大介・辻東倫選手らの成長が楽しみです…