この数日、西武ライオンズの菊池雄星投手の二段モーションについて、球団から日本野球機構(NPB)へ質問書が提出されたりするなど、ちょっとした騒動になっています。
審判の立場としては、長いシーズンの中で投球フォームの変化にも気が付くと思いますし、特に春季キャンプ中やオープン戦では指摘はなかった様です。
今回、色々な論調を目にしましたが、「なぜ今の時期か?」というコメントを見掛けたので、まず本当に変化があったのか、調べてみました。
この動画を観ると、右脚(踏み出す脚)の変化がよく理解できます。
【公認野球規則5.07 『投球姿勢』】(旧8.01)
(a)正規の投球姿勢
(1)ワインドアップポジション
投手は、打者に面して立ち、その軸足は投手板に触れて置き、他の足の置き場所には制限がない。
この姿勢から、投手は、打者への投球に関連する動作を起こしたならば、中途で止めたり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない。
(2)セットアップポジション
投手は打者に面して立ち、軸足を投手板に触れ、他の足を投手板の前方に置き、ボールを両手で身体の前方で保持して、完全に動作を静止した時、セットポジションをとったとみなされる。
この姿勢から、投手は、
打者に投球しても、塁に送球しても、軸足を投手板の後方(後方に限る)にはずしてもよい。
打者への投球に関連する動作を起こしたならば、中途で止めたり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない。
野球規則上の記述では不足なので、アマチュア野球規則協会が公開している、都道府県審判指導員マニュアル(第1版)から、規則違反の例を抜粋します。
【規則違反の例】
◯ 振りかぶった両手を頭の上で止める
◯ 振りかぶった両腕を何度も上下させる
◯ 両手を振って身体の前方で合わせた後に動作が止まる
◯ 自由な足を一歩後方に引いた後に動作が止まる
◯ 自由な足を上げてから一時的に止める
◯ 自由な足を上げるとき意図的に段階をつける(2段モーション)
◯ ボールを投げる直前に、離した投げ手を再びグラブに合わせる
審判団の中では、「ちょっと変わりかけたのは6月の中旬ぐらい。7月に入ってはじめて審判からちょっと段が激しくなっている」と報告があったそうです。
ローテーション投手も、更なるパフォーマンスアップや怪我防止のために、シーズン中にフォームの改善をする事があります。ルールの観点から、菊池投手のフォームを反則投球と判断したのであれば「複数回注意した」ではなく、その場で即、反則投球と認定すべきだと感じました。本人とチームにとっては、6月頃に反則と判断したフォームと、この8月下旬に反則をとったフォームが素人目にも同じ様に映る時点で、ここまでボークを取らずに流していた事を方々から問題視されても致し方ないと思います。
もし、このルールに関して、審判の個々の判断に任せたところがあるのならば、定義のあいまいさが問題な訳です。それであれば、MLBのルールとは別に、二段モーション禁止のルールを一旦撤廃する位の議論に発展した方が、根本的な問題改善に繋がると考えます。
まぁ、拙の独り言なんですけどね…