ママケツ理論

前回、甲子園大会の記録に触れましたが、そもそも高校野球以外で、NHKで連日にわたり全国中継される学生スポーツって他にあるのでしょうか?
8月に入るとプロ野球以上に話題を独占する事もあります。大会で活躍する選手が出てくると、評論家や専門家達は「あの球団に入れば即戦力、この球団は彼に合っている」など、その論調は早くもドラフト会議に向いています。

さて、ドラフト会議で指名される学生の条件を調べてみると、中学校、高校とこれに準ずる学校、大学とこれに準ずる団体のいずれかに在学した経験をもつ選手である必要があります。日本の学校に在学中の場合には、ドラフト会議の翌年3月卒業見込み、大学の場合は4年間在学している選手である事が大前提で、中途退学はこの対象から外れます。
選手本人がプロ志望届を提出すると、晴れてドラフト対象選手となります。ドラフト対象に対して、各球団が選手契約交渉権を得る会議の事をドラフト会議と呼ばれています。

ところで、スカウトについては、過去に何度か取り上げているのですが、

ミトコンドリアDNA

スカウトの決断力

最近も、ある名スカウトを取り上げた記事を目にしました。

「高校生の選手を見るときは、母親のお尻を見ろ」

そんなモットーでスカウト活動していたのが、戦後に選手として活躍したのち二軍監督、一軍コーチを経て阪神と近鉄でスカウトを務めた河西俊雄氏です。彼の生涯を描いた書籍では、「お母さんを取り込め」というスカウティング哲学に迫っています。

まず、選手を観て、母親の体型を見るのだそうです。コロコロとした体型で腰も尻もがっちりしているのかは、男の子が母親の体型に近づいていくからだというママケツ理論に基づいています。運動能力はもちろん、お母さんが大きければ息子も必ず大きくなる。だからこそ、スカウトは母親のお尻を見るというモットーで活動されていました。
入団交渉においても、10代の少年にとって影響力があるのは、監督でもなく、父親でもなく、母親だとも言っています。程度に違いはあるにせよ、全ての男はマザコンであるという前提で辿り着いたのが、「お母さんを取り込む」というスカウティング哲学なんだそうです。

中学以降の頑張りは、選手本人と母親に掛かっていると言っても過言ではなさそうですが、その反面、父親の出番が減っていくのは、なんとも寂しい限りです…

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甲子園大会2017

第99回甲子園大会が、埼玉県代表の花咲徳栄高の初優勝で閉を閉じました。
早稲田実業の清宮幸太郎選手がその舞台に立つ事は叶いませんでしたが、大会が始まると、選手達の打撃力の凄さに驚かれた方も多かったと思います。
48試合で総得点528、総安打数1025本は、ともに54試合だった第90回記念大会(537得点、1079安打)以来の大台に達しただけでなく、この大会で飛び出した総本塁打数は実に68本で、過去最多の60本(第88回大会)を大幅に上回りました。過去4大会が30本台だったことからすると、一気に倍増したという印象です。6本塁打で個人1大会最多新記録を樹立した中村奨成捕手(広陵高)を始めとして、1人で2本以上放った選手が13人もいました。
調べてみると、方向別ではセンターへ11本、右打者が右中間からライトへ6本、左打者が左中間へ2本だったそうです。
いくつかの要因が考えられます。この年から大会使用球が変更になった訳ではないのですが、金属バットに関しては重さのバランスがグリップ寄りになった事で、900g以上という重量制限を感じない工夫は施された様です。中学時代から、食育、筋力トレーニングも積極的に取り入れる選手が増えた事で、振り切れる身体を持った選手が多い年だったのかもしれません。そのためか、2年生が16本を放ったのも頷けてしまいます。
出場校では、球速や変化球を自在に変えられる打撃練習用マシンは当たり前の様に持ち合わせていますから、本格派投手がマウンドに立ちはだかっても、打高投低の印象が強く映るのは今後の傾向かもしれません。投手の肩・肘を守る目的で、複数の投手による継投策を敷いた高校も多かった様ですが、3回戦を完投勝ちしたチームは4校、その内2校は準々決勝で別の投手が先発しており、3回戦〜準々決勝を1人の投手で戦ち抜いたチームはありませんでした。
もはや1人のエースで大会を勝ち抜く事は、不可能に近づいているのでしょうかね?

さて、決勝戦でホームランを放つ事はありませんでしたが、今大会で異彩を放った中村奨成捕手の全ホームランシーンを振り返ってみます。

野村克也氏は、中村奨成選手のバッティングを金属バット特有の手打ちと評していましたが、

大会で魅せてくれたパンチ力は、努力の賜物だと思います。
野村さんの懸念するスイングが木製バットでどうなるかですが、その不安を払拭する程のWBSC  U-18における活躍もさらに楽しみです…

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